新連歌集ー3

初裏

1、いささけき木の下風の洩りくれば    牟世
2、 空あらたまる山のただずみ      正謹
3、いこひする女はらから声高く      忠夫
4、 思ひのほどはいつに知られず     宜博
5、忘れ得ぬめぐり逢ひたる城の町     裕雄
6、 しんしんと雪降りつもるらん     忠夫
7、なかなかに毛を持つもののあはれさに  和伸
8、 語りつがれむ夕鶴の舞        裕雄
9.待つ宵の月とは誰かいひそめし     忠夫
10、 濁り酒にもうつる人の世       宜博
11、なみなみと瓢に酌みし音さやか     紅舟
12、 涅槃の頃の里のもてなし       裕雄
13、死にたうもなく花の顔仰がれて     和伸
14、 霞む遠路箪笥いくつり        紅舟