高橋 禮子
パールグレーの海を相手にしませんか年相応のランチの誘い
アンテナに止まる烏の低きこえ地上のわれを威嚇するよう
ワイパーを力いっぱい働かせ眺めていますグレーのステージ
一瞬もとどまることない白きなみ横一線に寄せてほ返す
磯崎の磯に顔出す白亜紀の地層がこれぞ南向く岩
ひとつだ北向く岩あり人呼びて〈畜生岩〉なり白亜紀のもの
白亜紀の末に絶えたる恐竜の姿が見える波の向こうに
空の青うつしていない海のいろグレーの世代のわれらにやさし
閉ざされた車のなかにひっそりと茨城産のメロンがかおる
はつなつの雨のピリオドよく見ればアンモナイトの形している