サザのコーヒー   高橋 禮子

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 サザのコーヒー

高橋 禮子

わたしにはおとぎの世界に二億もの相続税を払った話

 そのむかしセルビア王国発祥の地とされているコソボどうなる

 あるはずの車が無いというだけで留守と判断する友のあり

 身の回り片付けるべし要らざるは捨つるべきなりごみの哲学

 教職にあるころそうだそういえばおりおり思えり大岡越前

 人のことどころじゃないのに人のこと抱えて走る師走の下旬

 黄昏の風は鴇色吹かれゆくさくら花びらひたすらひろり

 セラミックヒータふおんと唸らせて詠むぞ詠まねば月夜のがまん

 不覚にも立ってしまったわが腹は横になりても横にはならず