六十の門

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六十の門

高橋 禮子

 こもれびを肩にふわりと止まらせて歩む私も森のはだか木

 てのひらに今日の天気を転ばせる菜の花畑のローヤルゼリー

 ああそうだ青海チベット鉄道に乗りて五〇〇〇の高地をゆかん

 東南の角に建てたる白き家ひかりと風をつねに離さぬ

 せかせかと取りて来たるが年ならんこれより先はあわてず焦らず

 五十代には門あらざりき心意気なくとも自然に走ってこられた

 パープルの風が辺りを震わせて円かに朱し六十の門

 細々とまた太ぶとと伸びてゆく草よいずれも気負いを見せず