白萩の庭 国保八江(やぶれ傘同人)

 尾瀬 (2)

 白萩の庭
         国保 八江 

 僧語る戊辰のいくさ夏座敷

 観音の存す堂なり沙羅の花

 祭笛に開け放たれし長屋門

 民宿に涼しき土間のありにけり

 拳上げ足蹴り上げて踊るかな

 子のしぐさ思いだしては墓洗う

 ささ濁る水面に影を秋の蝶

 尾瀬をゆく露の木道軋ませて

 枝折戸を開け白萩の庭に入る

 雨雲の奥に稲妻野の蒼く