二つのクリスマス・パーティ

二つのクリスマス・パーティ
              匿名さん。

 今ならずぶとい神経も、当時の私は、華奢で風で
折れそうな可愛い神経の持ち主でした。
 大学1年から2年にかけてファミレスでバイトし
た時、そこで1歳上の先輩Aさんに一目惚れしまし
た。でも恥ずかしくて、結局いつも遠くから見てる
だけで・・・なぜか、意識しちゃうと、話せなくて。
 他のバイトの仲間とは、何でもしゃべれたのです
が・・・そんなこんなで、約2ケ月ほど経った12月
のはじめ頃、たまたま、家の近くを散歩していたら、
同じバイト先の1つ上の男の先輩Bさんが車で通り
かかって、Bさんの彼女の家がすぐ近くで、その帰
り道とのことでした。
 そこで、家まで送ってもらうことになりました。
 車内で、いろんな話で盛り上がり、
“彼氏いないの?”
なんて、話になって、つい、その好きな先輩Aさん
のことを言ったら、なんと、Bさんは、そのAさん
とプライベートでも仲良しとのことです。
 Aさんも彼女はいないってことで、今度、Bさん
の彼女ともども、ダブルデートのセッティングして
くれることに話が弾みました・・ヤッホー! です。
 なんと、そのダブルデートはクリスマスイブの日
でした。
 Bさんの彼女とも初対面でしたが、Bさんの彼女
の家が偶然、私の家から車で10分ほどの所でした。
 すごく、気さくな方で、すぐにお友達になって、
そこで、Aさんも交えて4人でクリスマスパーティ
を開きました。
 夢のような一日でした。
 Aさんは、まだ車もっていなかったけど、Bさん
とその彼女の粋なはからいで、飲食を終わった頃、
そろそろ二人になりたいからって、Bさんが車を貸
してくれて、Aさんの運転で初めて二人で、夜景を
見にドライブにいきました。
 周りもカップルばっかりで・・・
 好きな人とクリスマスを過ごせるなんて、最高に
HAPPYな時間が過ぎて・・・。
 そんなこんなで、お付き合いがスタートしました。
 でも、当時の私は、自分のことをよく見られたい!
って気持ちが強くて、何を話そう、どうしよう・・・
この連続で、ちっとも自分の素を出せなくて、デート
が嬉しい反面、正直いってすごく疲れました。
 Aさんもサプライズが好きな方で、車を買ったみた
いで、でもそのことは、黙ってて、私をびっくりさせ
たかったみたい! でも、あいにく(;_;)ことに、A
さんの同じ年の1つ上の女のD先輩から、バイト中、
“Aさん、あんたのために車買ったよ。よかったね!」
って、先に聞いてしまいました。
 Aさんは、私が喜んでくれるかなって、いいながら、
そのDさんと中古車屋さんめぐりをして、車を買っの
です。
 Aさんは、まさかD先輩が私に、車を買ったことを
話したなんて、夢にも思ってないらしく、デートの時、
誇らしげに、「今日は車でデートだよ♪ジャジャーン♪」
みたいな感じです。
 私も私で、初めて知ったかのような下手な演技で、
デート開始・・・でも、なんだか本音で話せない自分
が嫌で、彼、せっかく、自分のために驚かそうと、は
りきっているのに、私があんまり嬉しそうじゃないか
ら、彼は彼でだんだん、テンション下がって、そのう
ち、せっかくのデートなのに、好きな人が隣にいるの
に、挙句の果てには、私の心の中では、Aさんは、同
級生のD先輩のことが好きなのかなあ??? と疑心
暗鬼に。
 その後のデートもぎくしゃく、なんでこうなるのと
自己嫌悪・・・思いとは空回りする自分に嫌気がさした。
 そんなほろ苦い思い出もあります。
 今となっては、人生経験が浅い当時は、自己中で、A
さんには、なんだか、悪いことしたなあって、思いです。
 その後、半年ほど経って7歳年上の彼氏ができました。
 彼は、姉のクラスメートで、たまたま姉と一緒に写っ
ている写真を見て、是非、会ってみたい!って、言われて、
ご対面!
 学生の私にとって、社会人の彼は、本当に包容力があり、
何でも話せて、何でも知ってて、おもしろくて、とっても
頼りになる素敵な方でした。
 私の家族もみんな、彼のことを気に入り、大学を卒業し、
私も社会人になって1年目、そろそろ結婚を意識し始めた
頃、彼の母親が長崎からいらっしゃるとのことで、一緒に
食事にいくことになりました。
 女手一つで育てた自慢の息子! 母親を思いやる彼の姿
を目の当たりにし、そのあまりのきづなの強さに、ショッ
クを覚え・・・結婚したら、長崎の実家で、歯医者を開業
することになっていたので、急に、知らない土地に一人で
いく不安に突然かられ、その後、なんだか、うまくいかな
くなり、多分、お母様に私は気に入れなかったようで、結
局、別れることになりました。
 結構、ショックで、半年ほど、引きずりました。
 そんな時、友達から、100人定員の出会いのクリスマ
スパーティーがあるから、一緒に行ってみない?って話に
なって、なにげなく参加し、そこで、出会ったのが、夫で
す?
 12月に出会って、6月に結納、3月に結婚と、あっとい
う間でしたが、結婚の決め手は、熱烈で誠実な彼とすにな
れる自分と飾らない優しいご両親かなあ! とっても、自
然な流れでした。自然って、大切ですね!
 こんな内容でいいものかと思いつつ・・・書いちゃいま
した!なんだか、久しぶりに、昔を懐かしみ♪ 今となっ
ては、ぜーんぶ、素敵な思い出、今の自分をつくってくれ
た貴重な経験、これをクリスマスがくる度に思い出して一
人でニヤついています。 

(注)やはり、過去の愛情遍歴があっての今の幸せですね。
 元教育関係で活躍し今は経営者としてもカウンセラーと
してもカリスマ性を発揮して活躍中ですから当然ですが、
文章力の凄さにも脱帽、文筆業にも向いていますよ!