「思い込みは邪魔なだけ」
倉本 真由美(仮名)
恋愛、結婚の感想について、思いつくままに書いてみました。
まず、目次でヒットしたものに「似たもの同士は反発する」があります。
私と夫は似たもの同士です。でも、この目次と反対で、上手く行っていると言えます。
生年月日も2週間違い、どちらも第一子、高校を卒業後はお互い同じ土地で過ごしていて、その後、地元で就職しています。
さらに、親の年もほぼ同じ、テレビをでも見たいものは大体同じ、過去の話題も共通で盛り上がれます
周りの方からは良く出来たご主人ですね、と言われますが……夫が我慢しているかも?
普段、それほど会話はないですが、機嫌のいい沈黙がある感じです。
上手くいっているのは、きっと夫の気持ちや行動が、仕事以外は、家庭と私に向いていると感じられているから! ん?
でも、上手くいっているゆに感じるのは、似た者同士だからではなく、夫の気持ちの方向性かも知れませんね。
結婚した頃、夫のことを何をするのも遅くてしんきくさいと感じていました。
出かける時も、私より用意が遅いし…と、思っていました。
それが、ある時、まだ幼いかった子供をつれて外出する時でした。
私が、オムツ、よだれ拭き、おしり拭き、などと出かける直前になってバタバタと焦っている時、夫は、自分が用意すべきものはさっさとリュックに詰めて担ぎ、子供を抱いて表にいました。しかも、待っている事を感じさせない自然体でのんびりと、庭の花などを眺めて、余裕のある雰囲気なのです。
それを見た時、あれ? 夫は用意が遅くてどんくさいと思っていたのに、用意が遅いのは私で、夫は、全く急いだ様子も見せないのに用意が早いことに気づいたのです。
これが、私の見ている世界が反転した瞬間でした。
どんくさいのは夫だと思っていたのに、どどんくさいのは私だったと初めて知ったのです。
それからは、相手の事だと思っていたのが私だった、ということが続出して、それは、とても不思議な感覚でした。
その日を境に、用意が遅いし何事もどんくさいと思っていた夫は、それなりにサッサッっと用意の出来る夫であることを知り、自分の思い込みの間違いに愕然としたものです。
夫に何を言ったわけでもなく、私が夫を理解しようとしたわけでもないのに、夫の欠点と思っていたのが実は自分の事だったと気付いたのです。 これまでは先入観で、自分の欠点を相手にあてはめて見ていたことに気づき、自分を恥じました。
これは実に不思議でな感覚で、ここから夫婦関係が一気に好転したような気がします。
この日を境にして素直な目で自分と相手を見るようになり、自分も欠点だらけの自分を取り戻しました。
しかも、これを全てにあてはめてみると、恋愛も結婚生活も上手くいくような気がするのです。
恋愛も結婚生活も、思い込みを捨てて素直な目で相手を見る……私にはこれが欠けていたのです。
もう一つ、思い込みが変わった事件がありました。
私の父は、家の事をほとんどしない人でした(これも実は思いこみですが)。
そのため、男は女のする事を手伝わないと思い込んでいました。
だから、結婚してからも、夫には、食事の支度を手伝って欲しいなどとは言えなかったのです それに、「ちょっと手伝って」と言って、拒否されたら傷つくし腹が立ちます。
ある日曜日、昼食の支度で、天ぷらを揚げながらソバを茹で始めたところ、突然、寝ていた子供が泣き始めたのです。
油は火止め、ソバは火を弱めて子供のところに行きました。すると、子供が粗相でオムツを汚たのに気づきました。
台所では、天ぷらはほぼ揚がっていて問題ありませんが、ソバの鍋が心配です。
思わず、新聞を読んでいる夫に「台所手伝って!」と声をかけました。結婚して以来のことです。
すると、「いいよ!」と、気軽に立った夫は、なんと鍋に少量のビックリ水を入れて泡を静め、ソバの様子を見て火を強めました。それだけではないのです。油の入ったフライパンを再び熱くして、やり残した天ぷらの具材を揚げ始めたのです。しかも、自分が玉ねぎが好きなものだから、余分に1ケ取り出して皮を剥き、練った粉に絡めて、一気に天ぷらを仕上げました。その間に、ソバの様子を見て火を止めていましたから、それをザルに移して水道の蛇口の下で勢いよくさらし、全てが手際よく終わって、私が子供のオムツを替え終わって手を洗った頃には、なんと、食卓に天ぷら、ソバ、ソバつゆが揃っていて、夫は、冷蔵庫から生ワサビを見つけておろし金で擦り下ろしている最中でした。
私は唖然として言葉もなく立ち尽くしていましたが、ふと、どうせ夫のことだからソバは湯で過ぎ、と思って気を取り直し、ソバを少しつまんで口に入れてみました。湯で加減が絶妙で、見ると、天ぷらも見事にこんがりと揚がっています。どうせ、まぐれだとは思ってみましたが、何だか毒気を抜かれたような気分です。
それでも気を取り直して、少し嫌味かなと思いつつ、「これからは何でも手伝ってもらおうかな」と言ったところ、夫の口から出た言葉は単純明快で「いいよ!」・・・これだけでした。
全く、今までの遠慮はなんだったろう? 目から鱗!! これからは何でも気持ちよく手伝ってくれます。
思いこみで、いつも自分の中で葛藤しているんです。
これが、人生を狂わせている。私にはそう思えました。
恋愛、結婚、さまざまなケースがあると思います。
離婚をするカップルが、日本でか世界でか知らないけれど半分あると聞いています。
離婚する人たちには、それなりの幸せとは無縁なストーリーも沢山あるでしょうね…
でも、その中には、私のような思いこみと勘違いによるコミュニケーション不足も多々あるような気がします。
しかも、このコミュニケーションが一番難しいものだと思います。
コミュニケーションの一つとして、女性が夫婦生活を断らないというのはどうでしょうか?
男の人は、それを断られると、人間性まで奪われる、信頼していないように男性は感じるらしいのです。
それに、それを拒絶すればするほど夫婦関係もギクシャクして女性の魅力も無くなり、男性の浮気の元をつくります。
嫌だと思っても、とにかく受け入れて見るのも……それでも断りたいときは、せめて寄り添うだけでもいかがですか?
ただ、これで男性が納得するかどうかは分かりません。
男と女は火星と金星ほど違うらしいので、そこを理解して付き合うことも必要ですね。
女性はよく「わたしのどこが好き?」などと男性に確認を求めますが、男性はこのような、どうでもいい事、どうにもならないことを言われるのが苦手でストレスになることも確かのようです。
ならば、女性としては、多くの男性が「どこが好き?」とかの質問に、素直に回答できないことも知っておくべきです。
そんな心配などしなくても、女性は、好きな男に愛されてる・・・こう信じて安心していればいいような気がします。
と、これは私の独断でそう思っているだけで、世の中さまざま千差万別なのも承知の上での発言です。
それと、男性はどうもポイント制らしいのです。
そこで、女性側としてはポイントアップのための策を弄します。
まず、男性の言動に、女性が喜ぶとポイントアップ。その逆がポイントダウンです。
男性は単純ですから、男性がしてくれた事に女性が喜んでいれば、男性はいい気分でいられるらしいのです。
ちなみに、私は週一程度ではありますが、夫に対して「私や子供の為に働いてくれてありがとう」とさりげなく言います。
もちろん、何かしてもらったら「さすが!!」「すばらしい!!」「ありがとう!!」、このぐらいのことは言います。
これえ、喜んでもらえて、また喜んで手伝ってくれるなら安いものです。口だけですから無料えす。
それから、お買いものについての主婦の知恵です。
どうしようかと迷った時は、パートナーに相談してパートナーが決めたものを買うとヒット!!、こんな例がよくあります。
きっと、パートナーの声は、気付いていないだけで自分の陰の声のような気がします。
そう思って聞くと、ありがたい言葉になります。
ともあれ、我が家は私の作戦勝ち・・・こう思っていました。
でも何だか、夫のほうが一枚上手のような気がしてなりません。
さあ困った、こんな思い込みが頭を支配すると、また新たな対策が必要になりそうです。
(注)美容院経営、心理カウンセラー、エッセイスト。私(花見)の強力な取材協力者です。